とびっきり、片思い。

たどり着きたい##中田Side##




清水寺の地主神社に到着した時、新垣の姿を真っ先に見つけてしまった。


ルートの最後に、この場所を入れた班長に感謝した。



大勢の人がいる中で、何故こんなにも早く居場所が分かってしまうのだろうかと自分でも不思議なくらいだ。


新垣が存在している部分だけ、そ明らかに違うスポットライトが当たっている。


新垣は恋占いの石に挑戦し、見事にゴールをした。


森川と嬉しそうにはしゃいでいる光景を見て、誰を思い浮かべながら歩いたのだろうと気になった。


早速、俺も願掛けのつもりで挑戦してみた。



「きょえーッ!石、どこだ?マジでどこにあんの?!」


目を閉じて歩きながら聞こえてくるのは自分の声だけで、虚しいくらい誰からも導きの声はなかった。


ただ最後の方に誰か女子が「がんばれー」と言ってくれている声が耳に届いたが、それが新垣ではないことは確かだった。


もしその相手が新垣だったなら、もうひと頑張り出来ていたかもしれない。



「ハァ!?妖怪はクリア出来たのに、何で俺にはできないわけ?」



せめて、少しでも俺の方を見てほしくて、俺が見ていることも知ってほしくて、大きめの声で悔しさを吐いた。


「このやろう!」と石に向かって叫んだが、違うんだ。



本当はこんなことがしたいわけではなく、ただ素直な気持ちを言いたいだけなんだ。


好きだって言葉を伝えたいだけだ。



それなのに俺は、何故、他のことばかりを口にしてしまうのだろう。


気持ちと実際の言葉が反比例している。


こんなことをいつまで続けるんだろうと、自分でも呆れちまうくらいだ。


新垣の姿が見えなくなった神社内で、素直になりてえ!と心の中で叫んでいた。



中田Side fin.



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