とびっきり、片思い。
個室に駆け込んで、鍵をかけた。
戸に背をあてたまま天井を仰いだ。
涙が溢れないように、唇を噛み締める。
しばらく自分を落ち着かせてトイレから出ると、外の廊下には森りんが立っていた。
下をうつむいているから、少し心配になり、顔を覗き込むようにして声をかける。
「大丈夫?」
するとハッとしたように彼女は顔を上げた。
「あ、未紗ちゃん…」
「森りんもトイレ?」
そう問うと、首を小さく横に振って、私から少し視線をそらしながら言った。
「心配だったから」
「え……」
「さっき、様子がおかしかったような気がしたんだ。勘違いだったらごめんね」
その言葉に、蓋を閉めたはずの心の中の箱が開きそうなった。
だけどいくら相手が森りんでも、本当のことを告げたら笑われちゃうかもしれない。
そんな考えが働いて、本当に聞いてもらいたいことは、胸の中にしまったままにする。
「ホームシックかも。変だよね」
そんな風に言って、笑った。