とびっきり、片思い。




「だんだん自分が何をしたいのか、何を言いたいのか、分からなくなってくるんだ」


「ゆっくりで良いよ。続けて」



それからも、森りんは黙って聞いてくれた。



「この気持ちは、憧れっていう言葉とは何か違うの。じゃあ、恋しているのかって聞かれると、それはそれで、どう答えたら良いのかわからない。この気持ちを恋って呼んでも良いのかも分からないんだ」



「うん」



「カナタを想うとよくここらへんがね…」



そう言って、胸の辺りに手を置く。



「ぎゅうって締め付けられたみたいに苦しくなるの。そして涙が出てくる」


森りんは「そっか…」と言って一呼吸おいてから、少し先にある盆栽に目をやりながら、穏やかな口調で続けた。


「気持ちに正直でいられることは、大切だって思う。
好きっていう気持ちは、誰にも止められないもんね、自分でさえも。その人のこと、思いたいからって思い始めるわけじゃなくて、気づいたら思っちゃっているんだもんね。自然的に」


私はその言葉に頷いた。


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