とびっきり、片思い。
彼女は姿勢を正して、私に顔を向けて微笑んで言った。
「思い続けて、それに向かって努力していれば、いつか本当に叶う時がくるかもしれない。うちは、誰が何と言おうと未紗ちゃんを応援してるよ」
「ふふっ。ありがとう」
「それに、もうすでに一回会っちゃったじゃん!コンビニで」
月に照らされた森りんの瞳がキラキラとして見えた。
あの時のことが蘇ってきて、急にドキドキと鼓動が高鳴り始める。
「あと、忘れていないよね?」と確認するように森りんは言った。
「今日、あの石にたどり着けたことも」
「そうだったね」
私たちは顔を見合わせて笑った。
そして森りんは、大切にしている事を教えてくれた。
「辛い時は、未来の自分が今の自分を“こっちだよ”って呼んでくれているイメージをしたら良いんだって。その時のポイントは、未来の自分が幸せそうに笑っている姿であること」
小学生の時に虐められた経験があって、悩んでいた時期にお世話になったカウンセラーの先生から貰った言葉なんだって。
「虐められてた当時は、誰かと笑ってる自分なんて想像もできないくらいしんどい時があったけど、先生に今の言葉を貰った時から、イメージの大事さに気が付いて、実行してみて、ちょっとずつ自分が変わっていったような気がしたんだ。他人は変えられないけど、自分は変えていけるんだって実感した。そうしたら、周りの景色も違って見え始めた。時間はかかったけど、本当に今、すごく幸せなんだよ。こうして未紗ちゃんと出会えているし」
胸が熱くなって、森りんに感謝の思いを伝える。
「ありがとう」
私も未来の自分に良いイメージを浮かべながら進んでいこう。
そんな決意を持って夜空を見上げた。
光っているあの一番星が、私にとってはカナタで、どれだけ手を伸ばしても触れられないからこそ、惹かれるのかもしれない。
今日は、京都の地から心の中で言うね。
『明日が、あなたにとって良い日でありますように』
苦しさも切なさも、全部を越えて、いつかこの声が届いたらいいな。