とびっきり、片思い。




家から学校までは、歩いて15分程度だ。



私が到着すると、教室には既に一番乗りの森りんがいた。


椅子に座り読んでいた本から顔を上げ、チラリとこちらを見た。



「あ、未紗ちゃん。おはよう」



微笑むと、メガネの奥の瞳が三日月形になって可愛い。



彼女は、森川 律子(もりかわ りつこ)。


あだ名は森りん。



私が転校してきた時に、一番初めに仲良くなった子で、彼女もまた青森県からの転校生だった。



転校時期は、森りんが中学1年生で、私が中学2年生の秋だから、彼女の方が東京は先輩っていうことになる。


彼女は、一人の方が気楽という理由で、私が来るまではほとんどいっぴき狼だったという。


多くの人が彼女を“風変わりな人だ”というけれど、私は自分の世界を持っている素敵な子だなって思うんだ。


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