とびっきり、片思い。
私が切れかけたとき、タイミング良く桜ちゃんが現れてくれた。
「あー、またちょっかい出してる」
「あ``?」
中田の顔が思いっきり歪んだが、桜ちゃんはお構いなしに続ける。
「いい加減に、子どもみたいなことやめたら」と呆れたように言って、目を細めて中田のことを横目で見た。
「お、俺は別に何もしてないし。コイツがさ...!」
「あー、もう分かったよ」
なだめるような口調の桜ちゃんに対して、中田は反論をやめた。
すぐに「もういいや。めんどくせぇ!」と髪をクシャッとかいて、離れていった。
百合子は、その背中を顔をしかめて見ながら小さな声でボソッと言った。
「中田って、正直ヤダ」
「何を考えてるのか、しっくりこない人だよね」
「子どもなんじゃん」
「たしかに」
私たちと百合子は頷きあった。