とびっきり、片思い。
『何か悩んでるんだったら言ってよ』
「ありがとう。でも大丈夫、元気だから!」
まるで自分に言い聞かせてるみたい。
茜にも本当のことが言えなくなってる、嫌な自分が顔を出す。
東京に来る前には、一緒に沢山夢を語り合ったのに。
あの素直な私はどこに行った?
「そうだ!聞いてよ。私、カナタと六本木のコンビニで会っちゃったみたいなの。帽子にサングラス姿だったから、確信はないんだけど、声と背格好がすっごい似ててね」
『マジか、憧れの人についに!?やっぱ、東京はすごいねぇ』
「私も夢じゃないかと思ったよ」
ちょっと不思議なむすびの譲り合いをしたあの時のことを、茜に話した。
『へぇ。おかかとか笑えるぅ!』
「でしょ、でしょ」
今でも同じコンビニを利用しているけど、あれ以来彼と会うことはなかった。
それでも、“またチャンスがあるかも”なんて、期待している自分がいる。