とびっきり、片思い。




『それはさておき、未紗は好きな人ホンマにおらんの?』


「いないって。これ、この前も言ったよ」




カナタが好きなのは知ってくれているけれど、茜からしたら恋はまた別の話という自論を持っている。


私にとっては、同じくらい大きな気持ちだけど、今はこの思いにそっと蓋をする。



『へぇ、そっかぁ。つまんないの。アハハ。
でも、好きな人出来たら絶対に教えてよ!』


「うん。分かった」




茜の笑い声が、電話の向こうで響いているのを聞きながら、唇を噛み締めて携帯をぐっと握った。



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