とびっきり、片思い。
「うっしょー、ひと休憩」
息をつきながら、私の隣に座った。
「お店の手伝い?」と、私が聞くとコクリと頷いた。
身に着けているエプロンの胸あたりに“中田青果店”と大きく印刷されている。
「絶賛配達中だぜ」
「そ、そうですか…」
ウィンクいただきました。
前よりは、上手くなっているかも。
「今日は、次のとこでラスト」
「お疲れ様です」
中田は休日にこうして自分んちの店の手伝いをしているんだって。
軽くお小遣い稼ぎにもなるからって言ってた。
「んで、妖怪は、どうして黄昏てんだよ?」
「妖怪じゃないってば!もぉ」
このおかしなあだ名に慣れてきている感じがして怖い。
「へへん。で?」
「夕焼けが綺麗だなぁと思って」
私がそう言って空を指差すと、中田も同じ方向を見上げた。