とびっきり、片思い。
「未紗、いい加減にしなさい。カナタはあなたの一生を決めてはくれないの。カナタは、未紗にとって架空の人物なのよ。それなのに、テレビがどうのこうのってそんなことばかり言って。今一番大切なことは何なのか、もう一度ちゃんと考えなさい」
“架空の人物”は、私が一番恐れている言葉だった。
どうしてそんなこと言うの!?架空の人物だと決めつけないでよ!って反論出来たら、どんなに楽だろう。
今すぐに耳をふさいで逃げ出してしまいたいくらい、苦しくて、その気持ちに押しつぶされそうだった。
「都立に合格しなきゃ。私立に行かせられるお金は無いのよ」
母が言っていることは理解していた。
今払ってもらっている養成所のレッスン費だって安いものではない。
母の応援には本当に感謝している。
感じ取ってもらえないかもしれないけど、精一杯努力してるつもりだよ。