JUNK LAND【→】

男にとって、前にも後ろにも進めずただ“確定”するのを、狭く湿気た部屋でひたすら待ち続ける事は苦痛でしかなかった。

しかも八年と云う時間。

過ぎる刑期を待つのではない。
刑罰を受けるのであれば、まだ刑が“始まって”もいないのである。

拘置所に設置されたメニューには、コーヒーやアイスクリーム、雑誌や漫画等が魅力的に書かれてあるが、金を持ち合わせない者にとっては文字の羅列でしかない。

娯楽は土日に所内に流れるFMラジオ位しかなく、その放送で辛うじて曜日の感覚がわかるのだ。

わかったからと言って、どうという事はない。


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