JUNK LAND【→】


「シフトに手を置いて……」


そう言う彼に従い、クレアは左手でシフトノブを掴んだ。

彼はその上から優しく右手を添えた。

ヨセミテ国立公園の近隣は、相変わらず観光客が大勢いる。

しかしクレアにとって、豪華なリゾートホテルへなだれ込むより、気軽な出で立ちで滑り込む“Motel(モーテル)”の方が、やはりどこかしら優越を感じるのだった。

この幾つもの優越感は、価値観の違いでしかない事をクレアは知っていた。

しかし、豪華なバカンスより、極上のリゾートホテルより、クレアにとってはこの時間に価値があるのだ。


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