青く、高く、潔く
パソコンを起動させて、
言われた通りに…
『里谷元成』って打ち込む。
ヒットした件数は、それはそれは…膨大な量で。
画面には…
モトの名前と。
スノーボードの文字と。
ハーフパイプ、W杯の文字とが…ズラリと並んでいた。
その中に…、オマケのようにして。
俺の名前まで…載っていた。
その記事ばかりは、到底開く気には…ならなかった。
「一番新しい……、って。……これか?」
その、動画を…カチっとクリックすると。
どこかで…聞き覚えのある音楽に合わせて、モトがボードを履く姿が…映し出された。
「……この曲……。」
モトから貰った…CD。
その、2曲目………。
それは、まるで――…
さっきの妄想の世界への、入り口であった。
映されていたのは――…。
モトの視線。
ドロップインから……
ざあっと音を立てて。雪壁を…滑走していく。
その、頂点に差し掛かった途端に…。
ふわり……と、
視界が…ゆっくり青へと彩られていく。
それから……
次にオーリーした瞬間には。
世界が……逆転するみたいに。ぐるりと…景色がうごめく。
若干…、自分のタイミングとはずれてはいるものの…
これは、俺が見たかった世界……。
忘れてかけていた世界――…
そのものだ。