青く、高く、潔く
震える指先で…、今度は、自身の名前を…打ち込む。


並んだタイトルには……、華々しいものはない。


【無念】【悲報】【闘病】……。そんな…、キーワードばかりだった。




それから……、久しぶりに。

放置していた、ブログへと…ログインする。






アメリカの地…、怪我をする前日。

その日以来、ここの時間は…止まっていたハズだった。





だけど……、ここでも、予想は覆されたのだった。






「………なに……コレ?」




いつもの、10倍以上の…コメント数。



フォロワーの数も…極端に増えていて。


コアなファン以外の人が、ここに訪れていることに…まず、驚いた。






コメントを開くと…


そこには、沢山の応援メッセージ。


最新のコメントは、つい…、5分程前に届いていた。




スクロールさせながらも……、ゆっくりと、1つ1つに…目を通す。



中には 、同じ病気を克服した人からのメッセージがあったり…、


ハーフパイプを始めたばかりだっていう少年からだったり…、



年齢も、性別もバラバラで。けれど……確実に背中を押してくれる言葉ばかりが…並んでいた。



あれから、もう……4か月ほど経っているのに。


時間は…止まってなどいない。






一際…目をひいたものもあった。


それは――…、


バスケットボールを抱えた、少年の…ピグ。
おまけに、目付きも…悪かった。



しかも、ユーザー名は……【ノアノア】。




「明日はリハとトランプ合戦だぜ!」って…、他のユーザーには理解不能なコメントを…残してる。



「…………。」




よくよく見れば…、遡ったコメント欄に、度々奴が…登場していた。





「ヒデコとナツならどっちが好み?」

とか、


「明日のメニューはひじき煮がサイコー」

とか、

それはそれは…意味不明な内容のコメントばかり…。





俺がコレを見てないって見越しての…イタズラだったのだろう。


ヤツのプロフィールへと飛ぶと、フォローしているのは……、俺、ただ一人。



1つだけアップされてる記事を見てみると。




おせーよ、タコ!

俺は晴れて自由の身だー!!



って、コレまた…意味不明な、記事。



日付けは……


ヤツが退院した日だった。










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