青く、高く、潔く
「母さん、俺……行きたいとこあるんだけど…。」
チビッコ暴走族は……立ち止まってなんかいられない。
そうだろう…、モト。
この日、俺が向かったのは…
中学校の、教室。
午後の授業だけ受けれるように…、配慮してもらって。
マスクと松葉杖の装着で…訪れた。
学校は丁度…昼休み。
教室に入った途端に…わんさかと人が集まって来て…。ただでさえ息苦しいマスクの奥が、さらに苦しくなるのを堪えて…
一人ひとりに礼を言った。
遠方にも関わらず…見舞いに来てくれた。
不格好な折り鶴は……、病気を公表した直ぐ翌日に、担任の手によって…渡された。
1年の半分もいないようなクラスメートに……
そんな労力を使ってくれたことが、素直に…嬉しかったから……。
それから…、もう一人。
どうしても、会いたいヤツがいたけれど――…。
「え?里谷、ここんとこずっと学校に来てないけど?」
「……だよな…。」
案の定、それは…叶わなかった。