青く、高く、潔く

外の空気を思いきり…吸い込んで。

ゆっくりと。それを…吐いていく。


二本の足を、トントン、と軽く…土を踏み鳴らすようにして。

長く世話になった病院に…背を向けた。



「たいせー、遅いよ!」

荷物を持った姉貴が…シビレを切らすようにして、遠くから…呼び掛ける。


「…………。」

自分の足じゃないくらいに…痩せ細った足は。
まだ、思うようには…動いてはくれないけれど。

迎えに来た家族の元に向かうくらいは…出来る。





だから―――…



振り返る…ことなく。

俺は、その一歩を…歩みだしたのだった。


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