青く、高く、潔く
滑り終えた俺を、待っていたのは……大成に他ならなかった。
板を脱ぎ、それを抱えて…君の元へと、近づいていく。
「お疲れ。」
ゴーグルをキャップの上にあげて。いつもの……クールな、大成が…帰って来た。
「『お疲れ』、じゃ…ねーよ。何だよ…、何でお前…」
「デイビット、攻略できた。」
「………………。」
攻略どころか…、越えてんだろ。
「モト。あとは…お前だけ。」
翳した拳は……
俺らの同盟の証で。
取り交わす恒例の…儀式。その…途中で。
もうひとつ……、
細く…しなやかな指の持ち主が。
そこに…割って入って来た。
「………仲間外れに…しないでよ。」
勿論…、その人は。
あくまでも…淡々と。
ドライな口調で…その言葉を放っていたが――…。
「………涼。」
口の端っこを、きゅっと…あげて。
大人びた…綺麗な顔を見せては…笑っていた。
3つの……腕が交差して。
それが…終わったすぐ後に。
ヤツら二人が…… 妙に名残惜しそうにして、チラリとお互いを見ては、
はにかんでいたことを……
俺は…見て見ぬフリしていた。
『おめでとう』だなんて…、まだ、言ってやんない。
ちょっとした……意地悪だ。
だけど、うん――…。
君が…もし、世界の頂点にでも…立ったのなら。
そん時くらいは…言ってやろう。