青く、高く、潔く




大成が…俺に遺してくれたものが…あった。








韓国、

平昌――…。



選手村の…宿泊施設。
その、一室の…ベッドの上。


俺は…それに寝そべって、手にした…ノート。
その、廃れたページの角を…捲る。


「……………。………ヘッタクソ。」


描かれているのは…、棒人間。
どれが手で、どれが足だかも分からないくらいに…乱雑な…絵。

その下の…解説文が、また酷い。


読解不能なソレに、何度も何度も…目を通す自分もまた…、まだまだだってことに。

流石に俺も…気づいてはきたけれど。

勉強嫌いな俺が、唯一開く参考書であるから…
そんくらいは、目を瞑ろう。



「………………。」

そう………、君が…必死に勉強していたであろう、中学3年の…秋。

君の母いわく、相変わらず…ボード漬けの毎日を過ごしていたっていう…話だ。


さあ、目を閉じて。

思い出そう。



君の…人生の中で。一番、輝いていた…ライディングを。






< 147 / 152 >

この作品をシェア

pagetop