青く、高く、潔く
大成が…俺に遺してくれたものが…あった。
韓国、
平昌――…。
選手村の…宿泊施設。
その、一室の…ベッドの上。
俺は…それに寝そべって、手にした…ノート。
その、廃れたページの角を…捲る。
「……………。………ヘッタクソ。」
描かれているのは…、棒人間。
どれが手で、どれが足だかも分からないくらいに…乱雑な…絵。
その下の…解説文が、また酷い。
読解不能なソレに、何度も何度も…目を通す自分もまた…、まだまだだってことに。
流石に俺も…気づいてはきたけれど。
勉強嫌いな俺が、唯一開く参考書であるから…
そんくらいは、目を瞑ろう。
「………………。」
そう………、君が…必死に勉強していたであろう、中学3年の…秋。
君の母いわく、相変わらず…ボード漬けの毎日を過ごしていたっていう…話だ。
さあ、目を閉じて。
思い出そう。
君の…人生の中で。一番、輝いていた…ライディングを。