青く、高く、潔く
「あのねえ…、告白されたワケじゃないし。」
鞄の中ををまさぐりながら…携帯を取り出す。
カンナの予想通りに…
ライン通知の画面に、『菅野』と表示されていた。
『日曜日、空いてますか?』
陽気なスタンプと共に送られてきた、デートの誘いともとれるメッセージに。
「……でも……、いいかもしれないね。」
ポロっと…言葉が溢れた。
「……!やった、マジで?!菅野先輩、喜ぶよ。」
「ははっ…、大げさー。」
もう、潮時だと…思った。
スキーも、
淡いこの、想いも。
返事を返そうと、画面に触った時だった。
手の中で、携帯が…小さく震えた。
「……………。」
「………?センパイ、積極的だねー?」
「……違う…。」
画面の一番上に…
一瞬だけ。
有り得ない人の名前が…表れた。
机の上に置かれた雑誌の、表紙で微笑む彼が…目に入った。
「……幼馴染みから。」
「……。ふーん、いたんだ、そーゆーひと。」」
本当は。
幼馴染みとは…言えない。
ただ、ちょっと昔に、関わりがあったというだけで――…。
忘れようにも…忘れられない。
縮まることのない…適度な距離が。
ずっと…そこにあった。
『日曜、暇?』
先輩と同じような…内容のメール。
一見、淡白で素っ気なくもとれる…文面。
たったの――… 5文字。
なのに…、だ。
後者の方が、まるで脳裏に焼き付いたかのように…深く、印象を残す。
小さかったハズのしこりが。
次第に…疼いて、増長していく。
「……日曜…、か。」
私は……、
徐に画面に触れる。