青く、高く、潔く
暫く降りて行くと。
さっきの男達の派手目なウエアが目に入った。
それから。
つばつきのニット帽子を、斜めに被った…生意気そうなチビッ子と、
見た目だけは可憐な女も…。
奴らは、またケツをつけて座り込んでいた。
「………うおっ…??!!」
次に目に飛びこんで来たのは……。
男達が、ダイナミックに宙を舞う…姿。
俺はリョウの側まで滑って来ると、
「アレがコーチの言ってた『キッカー』?!」
と、興奮気味に尋ねた。
リョウは…答えてはくれなかった。
彼女の視線は。
高く…
遠くへ。
「………え……?」
ソレも…、そのハズだった。
なぜなら、いつの間にか…
チビッ子暴走族の一人が。
空を……
高く、高く、舞っていたのだから。
「うわああ~!!!」っと、俺が叫んだ頃には。
ヤツの姿はフッと消えていた。
「落ちた…。た、たいせー!!!」
慌ててスキーコースへと周り、ジャンプ台の下へと降りて行くと…。
ド派手にすっ転んだ大成が、ボーダーの兄ちゃん達に拍手喝采を浴びせられていた。
足元のスキー板は、一本なくなっていて。
リョウがソレを…拾いに降りていった。
もちろん…、コーチからは大目玉!
こってり絞られ、
落ち込んだと思いきや……
ヤツの瞳の奥は、まだ、ギラギラとしていた。