青く、高く、潔く
あどけない顔した少年達は、いつも私の後ろについて、無邪気に笑っていた。
ただ、楽しければいいだなんて思っていたのは、私だけだったのだろうか…。
気づけば、彼らは遠く離れていった。
「うおっ…!ワンエイティー?!」
くるり、と水平にボードを半回転させて。
グラウンドトリック(※1)をやってのけるモトに、珍しく大成が声を上げた。
「マジか!サブロクできてんじゃん!」
お次は…大成の番。
ものの見事に、360°板を回転させ、尻餅をついた大成に…
今度はモトが面食らっていた。
気配がないと思ったら、二人は…技の見せ合いっこ。
「モトー!たいせー!先に行ってるよー?!」
シビレを切らして、私がそう叫ぶと……
「待って、今行くから。」
従順な大成は、モトを置いて…
あっという間に滑り降りて来た。
けれど、またすぐに……
「グーフィー(※2)のがカッコよくね?」
「俺、出来る。」
二人の世界はやって来る。
「グーフィーって、ディズニーのキャラの?」
「「ちげーし!!」」
「あ、そう…。」
日に日に、孤独感は増し……。
私は、ついに待つことをやめた。
二人の世界は、視野はどんどん広がって…
彼らが振りまく笑顔が、眩しくて眩しくて…、それからちょっと疎ましくて。
遠くから、その飛躍を…見つめるようになった。
今でも、会えば話すし……
互いの状況も、常に把握はしてはいたけれど。
いずれも、メディアを通して知り得ていたことばかりだと…気づいた。
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(※1)グラウンドトリック=通常のコース上で行うトリックのこと。
(※2)グーフィー=右のつま先を進行方向に向けるスタイル。グーフィースタンスの逆はレギュラースタンス。(通常、レギュラースタンスを基本にする人の方が多い)