青く、高く、潔く
「大成くん。これ……。」
その日の夕方……、
秀子さんがベッド傍にやって来て、俺の前に、iPodを…差し出した。
「………?何、これ?」
「ノアくんのベッドに置かれてあったよ。」
「…………。」
「それと、……はい、これも……。」
それから、もうひとつ……
小さなメモを手渡して来た。
大成へ
コレを聴け!
でもって、元気出せ!
……以上!
「どっちが、偉そうなんだよ……。」
秀子さんが、ぐっと……涙を堪えているのを。
本当は…気づいていた。
ノアが残したそれには……
俺が普段聴くことのない、女性ボーカルの曲が…沢山入っていた。
ノアが好きだと何度も話していた…インディースの歌手。
早速…イヤホンを付けて、曲を…流してみたけれど。体調がすこぶる悪いことも、合間っていたのだろうか……?
それに、いつも聴いていたのは、ヒップホップやレゲエの、重低音ばかりだったからか……
聴き慣れない高音域の声は、何だか…歪んで聴こえて。
ノアの最後に笑った顔を思い浮かべては…
申し訳なくなって、少し泣きそうになった。
「………ありがとう。」
俺は、ノアに…
1度もその言葉を言ったことがなかったんだって……
思いきり、後悔した。