青く、高く、潔く



「大成くん。これ……。」



その日の夕方……、


秀子さんがベッド傍にやって来て、俺の前に、iPodを…差し出した。



「………?何、これ?」



「ノアくんのベッドに置かれてあったよ。」


「…………。」


「それと、……はい、これも……。」



それから、もうひとつ……


小さなメモを手渡して来た。




   

      


      大成へ

     
     コレを聴け!
   

   でもって、元気出せ!
        
         
       
       ……以上!









「どっちが、偉そうなんだよ……。」



秀子さんが、ぐっと……涙を堪えているのを。


本当は…気づいていた。













ノアが残したそれには……

俺が普段聴くことのない、女性ボーカルの曲が…沢山入っていた。


ノアが好きだと何度も話していた…インディースの歌手。




早速…イヤホンを付けて、曲を…流してみたけれど。体調がすこぶる悪いことも、合間っていたのだろうか……?

それに、いつも聴いていたのは、ヒップホップやレゲエの、重低音ばかりだったからか……


聴き慣れない高音域の声は、何だか…歪んで聴こえて。


ノアの最後に笑った顔を思い浮かべては…


申し訳なくなって、少し泣きそうになった。







「………ありがとう。」



俺は、ノアに…



1度もその言葉を言ったことがなかったんだって……



思いきり、後悔した。




















 

< 75 / 152 >

この作品をシェア

pagetop