青く、高く、潔く
夏菜も、秀子さんも、「遊びに行くよ」って言ったその言葉通りに……。
新しい病室にも、顔を出してくれた。
夏菜は、彼女と同い年の女の子と仲良くなって……
秀子さんもまた、差し入れを持って来ては、同室の子供達や親に、こっそり配っていた。
別れの日は、それはそれは大号泣していた二人だったけれど……
あったかいものが、ずっと胸に……あった。
『俺は…、独りじゃない。』
現に、同室の子達は……
俺よりもずっと深刻な癌に侵されている子だっていた。
再発して、入退院を繰り返している子も……。
けれど、ソレを…話題に出して。
この治療が酷かった…だの、
髪が抜けることをネタにして、笑い合えるのは……。
同じ病気だからこそ、話せることでもあって…
それが、そう思わせるには十分な理由になった。
それから――…
俺のベッドは、また……
窓際の、一番端。
この空間で 、一番空が…近い場所。
それが……大きな救いとなっていた。
俺が見出だせなかった難題の…答えを。
ここの人達は…みんな持っていた。
『ただ、生きたい。』
その思いは――…
言わずとも 浸透しているのだ。
だから、僕らは……
ここに、居る。