青く、高く、潔く
髪型……、ヨシ。
服装……。
服装は――…?
「…………………。」
「涼!いつまで待たせるんだー?」
「あ……、はーい!今いくっ!」
階段下から、私を呼ぶ…父の声に。
私は、にらめっこしていた鏡の前から…、慌てて…離れた。
「……で?なんでそんな格好だよ?今日は土曜だぞ?」
「………いいから、前見て運転してよ。」
ハンドルを握る、お父さんは……さも不思議そうにして、ちらりと助手席へと目をくれた。
それもその筈…、
散々迷った挙げ句に、私が選んだのは…。
自分が通う、中学の制服…だったから。
自宅から、目的地までは…、約、1時間。
そこは…、大成がいる場所。
「お父さん、暑い!クーラーつけてよ。」
9月も末にかかるのに、まだ、暑さの残る…外から。
熱風が……車内に飛び込んでくる。
「エコだよ、エコ!」
「髪、乱れるし!」
「…………。……お前なあー、今からどこに行くと思ってんだよ。」
「……………。」
「時と場合をわきまえろよ?遠征に向かうのでも、旅行に行くんでも、ないんだから…。」
「………はい。」
「偉くしおらしーな。」
「……だって…。」
「わからんでも…、ないけどな?」