青く、高く、潔く
余りの痛みに、それを蹴って退かそうとした浅ましい行動に……即座にストップがかかった。


寧ろ…、ズッシリとした重みがあったことに…感謝したいくらいだった。


「涼―……!」


大成の顔が…一気に青ざめて。
けれど、彼が身を屈めようとするソレよりも早く…。


私は、大成の腕を掴み取った。

案の定…、バランスを失った彼の体重が……


私へと寄りかかる。



「大成、ごめん…!大事なもの――…」

「それより!足…!」



「大丈夫。……って、……え?」



なんの……心配をしてるの?

大事なスノーボードに、下手したら…傷つけたかもしれないんだよ?


「……大丈夫。怪我したって、平気だから。」


念を押すようにして、もう一度…そう告げた。

心配するその矛先を…間違えているから。




私は…、ボードのエッジを……そうっと持ち上げて。元の場所に戻しながら…


あの日の、光景を…思い出していた。



『デカいスポンサーがつくと、いいものが手に入っていいよね。』



卑屈丸出しで。

この、スノーボードにさえ…焼きもちを妬いていた、あの日の……私。


君の相棒で、
君の…一部で。
君の手によって…メイクされた……それが。


何故、こんな……場所に。

何故、日の目も浴びることない…狭い、隙間の中に。

どうして……忘れ去られているかのように、眠っていたのだろう…。






「ポーカーは……、もう、おしまい。」


大成は、ベッドの上に散らばったトランプを集めると…


「涼、ちょっと散歩に付き合って。」って…、真っ直ぐな瞳を…私に向けた。


有無を云わせぬ…


鋭い視線だった。












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