ツンデレ彼氏をデレさせろ。



“行くな。”
ーそう言いたくて、
出かかったけど。



それを言ってしまったら、
朔の自由を奪って、
束縛することになる。



俺に俺の世界があるように、
朔にも朔の世界がある。
その世界にお互い入ることは
できるけど、
その世界を俺は奪いたくなかった。



ーでも、誰にも朔を見せたくない
独占欲もあるわけで。



「……………。」



俺はどうしたらいいのか、
わからなくなって、黙り込んだ。



ーそしたら。



「………李斗………、
わかったよ。
気持ち、わかった、から。
いつもみたいに帰ろ。」



ーそう言う朔の顔は
見たことないぐらい真っ赤で。



…本当に帰りたい、
コイツを持って帰りたいぐらいの
衝動に駆られた。



このまま、家にコイツを
連れて帰って、
朔を本当に自分のものに
してしまったらーーーーー。



俺はきっと、満足するだろう。
けど、それは、自己満足。
朔の気持ちなんて、
無視してる。



ーだから。


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