ツンデレ彼氏をデレさせろ。



ー後に、玲奈は、俺に語った。



『李斗、今から話すことは
誰にも言わないで。
零斗にも。零斗、口軽いし、
遼に、絶対言わないで。
むしろ、聞き流して欲しい。
それなら、言わなければいい話
なんだけど、それだと、
私が爆発しそうだから、
本当話すけど、聞き流して。』



『う、うん。』



『私、本当は、遼が好きなの。
本当は、恋愛感情でも見てるし、
昔から、遼のお嫁さんになることが
夢だったの。
本当に好きで、好きで、
大好きで!!!
胸が張り裂けそうなぐらい、
本当は、
遼のことが、大好きなの。』



彼女は、
大粒の涙を流した。
それは、それは、止め処となく…。



『やっぱり、
そーだろうと思ってたよ。』



『え!?気付かれてた!??』



『俺と零斗には。
だけど、遼は知らないよ、
大丈夫。』



『そ、そっか…、
なら、良かった…。



あ、のね。
本当に遼のこと考えると
止まらないの。
本当は、ずっと彼と一緒にいたい。
ずっとずっと
彼の傍で生きていきたいの。



だけど…、無理だから…。
みんなは黙っててくれるけど、
私、もうすぐ、消えちゃうから。
もう、体がもたなくて…、
消えちゃうから…。』



『んなこというなよ。』




『李斗、隠さなくてもいいの。
わかるよ、自分の体だもん。
消えちゃうから…、
お願いがあるの、李斗に。』



そう言うと、彼女は、
自分で力強く涙を拭った。



『何?
出来る事なら、何でもするよ。』



『約束を、して欲しい。』



『何?』



『遼を幸せにしてあげて。
私なんかを忘れるぐらい、
大好きな彼女を作れるように、
幸福な家庭が築けるように、
手伝ってあげて欲しいの。



…それが一つ目の約束。』



『ああ、もちろんだ。
まあ、“玲奈を忘れる”は、
余計だけどな。』



『忘れなきゃダメよ。
忘れなきゃ、遼は…、
私という過去にずっと、
囚われてしまうから…。



それと、二つ目の約束。
私の気持ちは一生バラさないで。』



『わかった。』



『あー、後、余裕があれば、
零斗もよろしく。
まあ、あの子は、
世渡り上手だからなんとか
やってくでしょうけど。』



『へいへい。』




『絶対、約束守ってね。
じゃないと、李斗を
呪って祟ってやるから!』



『うわ、それ、本当怖ぇーから。』



そう言って、二人で笑い合った。
それが、俺が見た、
玲奈の最期の笑顔だった。ーーー



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