ヒット・パレード
「もういい!」
まったく、揃いも揃ってろくな企画を出して来ない。挙げ句の果てにはハゲだのデブだの、企画と全く関係ない言い争いなんぞ始めやがって………そんな、ぼんくらプロデューサー共の顔を見るのも忌々しい。
そんな思いを顔に出して、局長は横を向き、目の前のプロデューサー達から顔を背けた。
すると、その刹那ふと彼の左前に座っていた本田の存在に気が付いた。
「本田君」
局長からふいに声を掛けられ、本田はちょっと驚いたような顔で返事をする。
「は、はい!」
「そういえば、君はさっきから一言も発言していないようだけど、音楽部門では何か企画を考えてはいないのかな」
局長の問い掛けに、本田は少し緊張した面持ちで、こう答えた。
「私は………この開局記念の日に、ライブが出来たら良いなと考えています」
「ライブ……?」
本田の短い受け答えに、漠然とした想像しか思いつかない局長は、更にもう少し訊いてみる。
「ライブとは?本田君、もう少し具体的に説明してくれないか」
局長から具体的な説明を求められた本田は、自分が思い描くライブについて丁寧に語り始めた。
「簡単に言えば、音楽祭形式の24時間ライブです。人は、その重ねて来た人生を、音楽と共にそれぞれの心の中に思い出として刻み込んでいます。80年代、90年代、そして平成を迎え、現在に至るまで……
様々なヒット曲が生まれ、我々の心を虜にしていきました。
その、日本の時代を彩って来た名曲の数々を、ステージの上でまる一日かけてライブでお届けできれば……と思っています」
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