ヒット・パレード



午前0時10分………


テレビNETの社運を懸けた記念特番《24時間ライブ》は本田や陽子の予想を遥かに上回る大成功に終わった。


番組が用意した、観客を各方面の最寄り駅へと送るシャトルバスが停車する駐車場から少し離れた場所で、トリケラトプスと陽子達は顔を合わせ互いを労う。


「お疲れ様でした。演奏前は一体どうなる事かとヒヤヒヤしましたが、さすがはトリケラトプス!最高のステージを堪能させてもらいました!」


「こっちの方こそ、本番前にドタバタしちまって申し訳なかった。おかげでいいステージが出来たよ」


夕方から降り始め、夜には嵐のようになっていたあの雷雨も今ではすっかり上がり、雲の切れ間には散りばめたダイヤモンドのような星が幾つも瞬いていた。


森脇がその星空を見上げ、目を細めて呟いた。


「アイツ、ずっと俺達の事を見てたんだな」


別れ際の最後に『これでやっと逝ける』と告げて消えた前島。


前島の死に絶望しロックを封印していた森脇の姿を、きっと前島はどこかで見守っていたのだろう。


もしかしたら、森脇に再びロックを演らせる為に森脇と陽子を引き逢わせたのは、あるいは前島だったのかもしれない。


「前島さん、きっとこの先もずっと見守っていてくれますよ」


森脇の隣で同じように夜空を眺めていた陽子が、そんな事を言って優しく微笑んだ。


その時、二人が見ていた夜空にひとつの流れ星がすうっと横切るのが見えた。


そして、何故だか二人には、それが前島からの答えのような気がしてならなかった。










『いつだって見守っているさ』






───END ───


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