ヒット・パレード
丁度その時、ステージではZipの演奏が全て終わり、観客からの盛大な拍手が沸き上がっていた。
「ではマスター、我々はそろそろ引き揚げるとします。ご馳走さまでした」
「マスター、とても楽しかったです。また来ます♪」
「うん、本田君、そしてヨーコさんも、またいつでも飲みに来て下さい」
帰り際、マスターは相変わらずな穏やかな笑顔で二人を見送ってくれた。
そのマスターの笑顔を見て、陽子は思い出したようにある質問をひとつだけマスターにぶつけてみた。
「マスター、トリケラトプスは何故解散してしまったんですか?」
もしかしたら、マスターならその理由を知っているのではないかと思ったからだ。
しかし、その陽子の問い掛けに対するマスターの答えは、陽子の想像していたどの答えとも違っていた。
「ヨーコさん、それは君が直接会って彼等に訊けばいい。君達は、きっと彼等に出会う事が出来ると私は信じているよ」
うまく誤魔化されたなぁと思ったが、陽子はそれ以上訊かなかった。それに、マスターの言う事ももっともだと、何故かその時の陽子には感じられた。
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