ヒット・パレード
ぼんやりと、仕事の事ばかり考えていた自分の愚かさに気付いたのは、陽子が運転する車のフロントガラスに、黄色い回転灯の光を確認した時だった。
「しまった!この道まだ工事中だった!」
そう叫んだ後に、顔を歪ませ短く舌打ちをする。
気付いた時にはもう遅い。今更Uターンする訳にもいかず、陽子は渋々赤いストップランプが並ぶ車の列の後ろへと、自分の赤いフィットを着けた。
局からの帰り道、工事中で片側交互通行であるこの道路は、普段であれば迂回路を通る事により渋滞を免れていたのだが、この日の陽子は考え事をしながら運転をしていた為、うっかりと曲がり角を間違えてこの渋滞にはまってしまった。
「あーーんもう!私のバカ!」
自己嫌悪に陥りながら、恨めしそうに前の車の列に目をやる。
一旦繋がってしまうと、15分は動かない。陽子は、3ヶ月前にもこの道路で工事渋滞に巻き込まれた時の事を思い出した。
その時は、散々待たされた挙げ句、いざ自分の番となったところで交通整理の旗振りオヤジに停められたのだった。
その時の悔しさは、今でも鮮烈に覚えている。よりによってあの旗振りオヤジ、自分のところで停めやがって………
車に乗ると人格が変わる………
只今、イライラモード15%増量中の初音 陽子であった。
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