ヒット・パレード
「どうした、山下。何とか言ったらどうだ!」
容赦ない古谷の口調に、ふと我にかえった山下は、テーブルに手をつき大声でそのタイトルを叫んだ。
「最強俺様ヤンキーは甘々ツンデレ生徒会長!!」
「・・・・・・・・・・」
凍りついたように静まり返る、テレビNET第三会議室。
山下は、その周囲の異様な反応を、不思議そうな表情で見回していた。
「うん?どうしました、皆さん」
《呆れてものが言えない》とは、まさにこの時の為に用意された言葉なのではないだろうか………そんな面持ちで会議室の山下以外の者達は、言葉を失っていた。
テレビNET50周年記念番組に、いくらなんでもそれは無いだろう………皆、そんな顔をしている。
そして、そんな重苦しい雰囲気を打開するべく、今まで一言も言葉を発していなかった相田局長が初めて発言した。
「どうも雰囲気が悪いようだ。気分転換にちょっと休憩を入れよう………それから、山下君」
「はい?」
「君はもう、帰っていいよ」
局長の一言に、がっくりと肩を落とす山下。
時番のドラマ部門敗退は、これで確定的と言っていいだろう。それどころか、山下の今後の局内での処遇も気になるところである。
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