ヒット・パレード
「森脇ぃ~っ!テメエ、スコーピオンにケンカ売ってんのか!」
「まさかぁ~。最初に声掛けて来たのはそっちだろ?俺は、無益な殺生はしない主義でね」
「無益な殺生だと?お前何か勘違いしてねえか?こっちは四人いるんだぜ」
「はっ?そんなポンコツ四人位、俺達二人で充分なんだけど」
「ヤロウ!強がってんじゃねぇぞ!」
「面白ぇ、試してみるか?」
拳を握りしめながら威嚇する戸塚に、森脇が口角を吊り上げて応える。最初に戸塚と顔を合わせた時から、既にこうなる事は予測済みだったに違いない。
次の瞬間、スコーピオンの四人が拳を振り上げ猛然と森脇達の方へと突っ込んで来た。
両者の間のテーブル席で飲んでいた他の客達は、自分のグラスを掴んだまま、慌てて店の隅へと避難する。
「うおりゃあああああ~~~っ!!」
「ったく、どうしようもねぇなぁ~この単細胞がっ!」
森脇が、戸塚の放った右ストレートをするりと交わし、そのまま戸塚の背後に回って背中を思い切り蹴飛ばす。
戸塚はカウンターの椅子に顔面をぶつけ「うげっ!」と、踏みつけられた蛙のような情けない声を洩らした。
まず、一人。
森脇は、更にもう一人の鳩尾に膝蹴りをかます。堪らず腰を折った相手の後頭部めがけて肘鉄を食らわせた。
一方、前島の方は向かって来た相手の頭に、いきなりのビール瓶で一発。粉々になったガラスの破片とビールの泡が店の床へと派手に飛び散る。
そのまま、容赦ないビール瓶攻撃で一瞬怯んだもう一人の相手の頭を鷲掴みにすると、勢いをつけてテーブルに叩きつけた。
テーブルには、避難した他の客が残した食べかけのピザやソーセージが置いてあったが、この乱闘のおかげでそれらは店の床に散乱し、もう食べられたものでは無い。
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