手にしたあとは?〜積み重なってゆくもの〜


「…っ。」



一年ぶりに触れた大樹さんの唇は、少し冷たくて、でもあったかかった。



大樹さんが私を見つめて言う。


「華乃以上に特別な存在は居ないよ…」



大樹さんが初めてくれた言葉。




「今まで、無意識に避けてたんだ。この言葉…中途半端な俺が口にしちゃいけないってね。」


大樹さんが私をぎゅっと抱き締める。


「俺は、華乃が誰よりも好きだよ…」


ずっと欲しかった言葉…。

私は大樹さんの香りに包まれる。


「私も…大樹さんが好き…」



ずっと言いたかった言葉。


私は、いっぱいの力で大樹さんに抱きつく。




「他の誰もいらないの…大樹さんだけが私の特別なの。」



「うん…。」





大樹さんは、私の体を少し離して言った。



「今までいっぱい傷付けてごめんっ…」






「ううん…その分たくさん愛して…?」





大樹さんが笑って、オデコにやさしいキスをくれた。





やっと手に入れた。








ずっと欲しかったもの。



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