ホルケウ~暗く甘い秘密~
ぼんやりと、窓の外を眺める。


(結局、春山さんを襲ったというあの少年は死んだ。遺体の検分をしたがった学者たちが、奥の部屋に運んだ)


鮮やかな色合いで蘇る記憶。
少年の虚ろな金色の瞳が、脳裏に焼きついて離れない。

里美はホルケウに加わるかどうか、迷っていた。

ジェロニモ曰く、別に断っても良いらしい。

ただし、断った際にちょっとした処置をするとも付け加えられた。

そのちょっとした処置が怖いのもあるが、里美は純粋に組織に興味があった。


(父さんは、人狼についてなにか知っていたのかな?)


全身の肉を引っ掻きまわされた無惨な父の遺体を思い出す。

真相を知るためにも、やはりFeroceに参加するべきなのか。

なんとなくスマホのLINEアプリを覗き、里美は一番新しく追加された名前をじっと見た。

春山りこは、一体どうやってこの世界に入ったのか。


(それを聞いて、彼女は教えてくれるかな……)


考えると同時に、通話ボタンを押していた。

しかし、電源を切っていたのか、電話はつながることなく切れる。

そのことにホッとした自分はなにがしたかったのか、里美は自分がわからなくなりつつあった。
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