ホルケウ~暗く甘い秘密~
甘く掠れた声が耳元で響く。
いつの間にか、肩と腰に絡みついていた硬い腕を意識し、りこは反射的に玲の頭を平手打ちした。
「しっかりしなさい。あんたは理性ある人間でしょーが!付き合ってもいない女を襲おうとするな」
あからさまに舌打ちし、玲はすごすごとりこから離れた。
うっすらと紅く染まっている頬や、わざと嫌そうにしている表情が玲の劣情を煽っていると、りこはわかっていなかった。
(もういっそ本当に付き合っちゃう?だって、りこさん俺のこと好きだし)
自分の気持ちは整理していないくせに、身勝手な想像をしてしまう。
人狼の本能を知っているりことなら、付き合っていくのは楽だ。
隠し事をしなくても良いし、なによりアンパルが効きにくいりこは、流されてセックスという展開になることがない。
「そう考えたら、本当に付き合うのもあり?」
無意識のうちに声に出ていた玲の一言に、りこが反射的に声をあげる。
「なにが?」
りこの方はというと、最近変わりつつある玲の様子に、もしかしたら、と希望を抱いていた。
(玲も私のこと意識していたり……すれば良いんだけど、どうなのかしら)
束の間の沈黙。
おもむろにりこの髪の毛先を指に巻き付け、玲は涼やかに笑った。
「んー、なんでもない」
天使のごとき美貌と甘やかな微笑みに意識が持っていかれそうになる。
しかし、りこの理性は強かった。
近づいたと思ったのに、スルッと側からすり抜けていったのは、これが初めてではない。
というより、いつもそうである。
そういった玲の曖昧な態度が、りこに一歩を踏み出す勇気を与えないでいた。
そんな二人の距離感を冷静に見つめる自分が 、恋で頭がいっぱいになりそうになるもう1人の自分を叱咤した。
(私達の距離は、玲が半人狼って判明した時から変わってない………。近づけたかと思ったのだって、きっと気のせいよ)
にわかに表情が暗くなるりこを、玲は見逃さなかった。
いつの間にか、肩と腰に絡みついていた硬い腕を意識し、りこは反射的に玲の頭を平手打ちした。
「しっかりしなさい。あんたは理性ある人間でしょーが!付き合ってもいない女を襲おうとするな」
あからさまに舌打ちし、玲はすごすごとりこから離れた。
うっすらと紅く染まっている頬や、わざと嫌そうにしている表情が玲の劣情を煽っていると、りこはわかっていなかった。
(もういっそ本当に付き合っちゃう?だって、りこさん俺のこと好きだし)
自分の気持ちは整理していないくせに、身勝手な想像をしてしまう。
人狼の本能を知っているりことなら、付き合っていくのは楽だ。
隠し事をしなくても良いし、なによりアンパルが効きにくいりこは、流されてセックスという展開になることがない。
「そう考えたら、本当に付き合うのもあり?」
無意識のうちに声に出ていた玲の一言に、りこが反射的に声をあげる。
「なにが?」
りこの方はというと、最近変わりつつある玲の様子に、もしかしたら、と希望を抱いていた。
(玲も私のこと意識していたり……すれば良いんだけど、どうなのかしら)
束の間の沈黙。
おもむろにりこの髪の毛先を指に巻き付け、玲は涼やかに笑った。
「んー、なんでもない」
天使のごとき美貌と甘やかな微笑みに意識が持っていかれそうになる。
しかし、りこの理性は強かった。
近づいたと思ったのに、スルッと側からすり抜けていったのは、これが初めてではない。
というより、いつもそうである。
そういった玲の曖昧な態度が、りこに一歩を踏み出す勇気を与えないでいた。
そんな二人の距離感を冷静に見つめる自分が 、恋で頭がいっぱいになりそうになるもう1人の自分を叱咤した。
(私達の距離は、玲が半人狼って判明した時から変わってない………。近づけたかと思ったのだって、きっと気のせいよ)
にわかに表情が暗くなるりこを、玲は見逃さなかった。