ホルケウ~暗く甘い秘密~


スカートから抜かれた石田の手には、無惨に引き千切られたりこの下着がおさまっていた。

何が起こっているのかわからず、頭が真っ白になっている間に、セーラー服のファスナーは下ろされていた。


「隼人頭良いな」

「だろ?さすがにノーパンで抵抗は出来ないって」


今日に限って、Tシャツもキャミソールも着ていなかったことを、りこは激しく悔やんだ。

力の限り上半身を捻り、抵抗を試みるも、所詮女子の力では男子に敵わない。

ブラを押し上げられ、森下のカメラがシャッターを切った。

スカートを引っ張られて、反射的に足を閉じるも無理やりこじ開けられる。


(嘘だ。こんな形で処女を失うなんて……!)


目に涙がたまり思わず俯くが、石田は目敏くそれに気づいた。

顎を引っ張られ、りこの泣き顔は森下のカメラのもとに晒された。


「いやー、実に良い気分だわ」


楽しげにシャッターを切り続ける森下をからかうように、石田も笑う。


「処女には興味なかったんじゃないの?」

「無いよ。だからさっさとやりつくして」


ベルトを外すカチャカチャという音に、恐怖と絶望感がジワジワと押し寄せてくる。


(こんなことなら……)


玲と再会して間もない頃、彼は人狼の本能に負けてりこを襲ったことがある。

その時は今ほど不快ではなかった。


(あの時完遂しちゃってれば良かった)


避妊をする気など一切ないのか、ゴムを着けずに石田は自身の男根をりこの太ももに擦り付けた。


「右京ー、俺のカバンからジェル取って」

「そんなもんまで持ってきてるのかよ!用意周到だな」

「だって乾いてると気持ちよくないし」


森下が石田のカバンを持ってきたその時、教室のドアが静かに開いた。


「お前ら、なにしてんの?」


地の底を這うような冷たい声が、りこの耳に飛び込んできた。

パーカーに手を突っ込み、能面のごとく表情がない玲がそこにいた。

突然の闖入者に一瞬意識を持っていかれるも、石田も森下もヘラヘラ笑いながら行為を続けようとした。


「なにって、こういうプレイ。お前も入る?」


それ以上の言葉は森下の口から出ることはなかった。

玲に胸ぐらを掴まれた彼は、机をまとめた区画に投げ飛ばされた。

ガラガラと派手な音をたてて、椅子や机が倒れていく。

その様子を見て固まった石田の背中を蹴り飛ばし、床に転がった彼の頭を踏みつけ、玲は淡々と言った。


「死にたくなければ今すぐ出ていけ」


背骨にヒビが入ったのか、苦しげに呻きながら石田は机の山から森下を掘り起こした。

助かったことに胸を撫で下ろし、りこは大事なことに気づき、再び顔を青くした。
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