ホルケウ~暗く甘い秘密~
雲行きが怪しくなってきて、今にも雪が降りだしそうだった。
雪を見ると、嫌でもあの日を思い出す。
だから俺は冬って季節が、雪が大嫌いだ。
世間ではホワイトクリスマスだと喜ばれるシチュエーションも、俺にとっては苦痛で。
にわかに無言になった俺を気遣うように、愛子が後ろから抱きついてきた。
ミルクのようなまろやかな甘い匂いと柔らかな肢体の感触に、俺は凍りついた。
勢い良く振り向けば、いつの間にかブラウスとスカートを脱いで下着姿になっている愛子がいて。
「何してんの!?」
まただ。また下腹部に熱がこもって、理性がジリジリと焦げ始める。
見てはいけないと思いながらも、俺の目は愛子の下着姿に釘付けだった。
顔を赤らめながらも、愛子は俺の手を掴んで自分の胸に持っていった。
「確かに中学生でこういうことは早いよ。それはあたしもわかってる。玲の言い分もわかる。でも……」
指が、手首が、愛子の硬く成長途中の胸に触れる。
ジーンズのチャック部分が軋むのが自分でもわかったくらいだ。
痛いくらいに肥大したそこと、必死で戦う俺の理性。
「でも、興味すら示してくれないんだもん!」
「興味ないわけじゃない!」
とっさに言い返して、俺は後悔した。
口を滑らせた。
混乱したように、愛子はいつになくきつく詰め寄る。
「じゃあどうしてそんなに嫌がるの!?あたしが嫌いじゃないなら、途中までしたって良いじゃん!」
色々と我慢を重ねていた結果、その一言で俺はぶちギレた。
「ふざけんじゃねえッ!」
付き合ってから今まで、愛子を怖がらせるようなことなんか、したことなかった。
けど、その時は。
溜まりに溜まった負の感情が爆発したその時は、大声で怒鳴り付けるくらいしないとおさまりがつかなくて。
愛子の手首をむんずと掴み、顎を自分に向けさせる。
「大事だから、大切にしたいから今まで手を出してこなかったんだろうが!なんでわからないんだよ!」
なんでわかってくれないのか。
肉欲に負けた俺はどんな酷いことをするかわからないのに。
泣きそうなくらい心が軋んで、俺は言葉に詰まった。
俯く俺を理解出来ないといったように、愛子が叫ぶ。