ホルケウ~暗く甘い秘密~
内股を軽くなぞれば、それだけで頬を上気させて、愛子はねだるように俺を見上げた。
俺の気持ちではなく、アンパルに反応している愛子に、俺はどうしようもなく虚しくなった。
アンパルのおかげで、貫通する時も、普通にするよりも痛みは少ないだろう。
「あ、俺ゴム持ってない」
さすがに生でするわけにはいかない。
どっかで妙に冷静な自分がいて、そのことに気づいて安堵していた。
これを口実に、強制的に止められる。
「それなら大丈夫。あたしのバッグに入ってるから」
ベッドからおり、いそいそとポーチの中からゴムを出してきた愛子に、俺はより気持ちが冷めた。
彼女は、今日俺に抱かれることを想定してここに来ていた。
中学生ではかなり早いけど、これがそれなりの歳の男女なら普通のことだ。
なのに、俺はその普通の展開が嫌だったんだ。
つまるところ、俺はこういうことが嫌いらしい。
お袋の件とかで、性的なことはトラウマや自分の嫌いな部分に結び付いているからだろう。
「ついでにゴムつけて」
その時の俺の声は無機質で、肉体の反応とは裏腹に全く熱がこもっていなかった。
にも関わらず、興奮しきっていた愛子はそれに気づくこともなく、ただ従順に俺に従った。
そのあとの自分の振る舞いは、はっきり言ってクズだった。
処女である愛子を労ろうとなんかしないで、いきなり突っ込んで、流れ作業のごとく腰を振った。
それでも愛子は、股ぐらから血を流しながらも恍惚とした表情で、あえぎ声をあげ続けた。
(……この人が見ていたのは、俺じゃない)
やっと、本当にやっと、俺はそのことに気づいた。
意外と早く事は終わった。
ぐったりして眠りについた愛子を見下ろし、俺はこの関係を終わりにする覚悟が出来た。
事後処理を済ませて、俺は商店街に続く道をひた走った。
商店街の真ん中、右の曲がり角に入ってしばらくすれば、白川カトリック教会は見えてくる。
インターフォンを鳴らせば、驚いた表情のスミス神父が俺を出迎えた。