ホルケウ~暗く甘い秘密~
第2章~露見~
1
ブレーキの音が暗闇を引き裂く。
そのけたたましい音で、りこは我に返った。
二階の自室の窓から外を覗くと、祖父、政宗の車が止まろうとしているところだった。
急いで玄関まで迎えに行くと、政宗が青ざめた顔でりこの肩を掴んだ。
「りこ、警察の世話になったというのは、ほ、本当か?」
「ストップじいちゃん。その誤解を招く言い方やめて。正しくは事件に巻き込まれた、よ」
政宗のあわあわとした様子に、りこは一瞬にしていつもの冷静さを取り戻した。
側に自分より慌てている人間がいると、かえって冷静になるというのは、あながち間違いではない。
「オオカミに襲われている少年を目撃したの。彼は救出が間に合わなくて、噛まれたわ」
宗行の顔色は、青から白へと変わった。
早朝、りこが起き出す前に、政宗も毎日朝のニュースを見ていたため、白川町にオオカミがいることは知っていた。
生物学者として、北大の幸村共々興味を持って一連の推移を見守っていたが、自分の孫が巻き込まれるとは思いもよらなかった。
「…………無事でよかった」
「私もそう思う」
半ば放心しかけている政宗に追い討ちをかけるようで、りこは警察に共に連絡することになっていると、なかなか切り出せなかった。
しかし、いざ報告してみれば、政宗は至極あっさりと納得し、家電のボタンを押し始めた。
そして淡々と話を進め、時にはりこも混じり発見当初の場面を再び話して、日曜日にまた事情聴取という形となった。
電話を切ってから、政宗は疲れが滲んだ笑顔でりこに外食を提案した。
「りこ、久しぶりに外で食べないか?」
「珍しいね、じいちゃん。いいよ、私も今からご飯支度するの、しんどいし」
そういえば、政宗とどこかに食事に行くのは数年ぶりだ。
りこは行き先を聞いたが、政宗は秘密だと笑った。
そのけたたましい音で、りこは我に返った。
二階の自室の窓から外を覗くと、祖父、政宗の車が止まろうとしているところだった。
急いで玄関まで迎えに行くと、政宗が青ざめた顔でりこの肩を掴んだ。
「りこ、警察の世話になったというのは、ほ、本当か?」
「ストップじいちゃん。その誤解を招く言い方やめて。正しくは事件に巻き込まれた、よ」
政宗のあわあわとした様子に、りこは一瞬にしていつもの冷静さを取り戻した。
側に自分より慌てている人間がいると、かえって冷静になるというのは、あながち間違いではない。
「オオカミに襲われている少年を目撃したの。彼は救出が間に合わなくて、噛まれたわ」
宗行の顔色は、青から白へと変わった。
早朝、りこが起き出す前に、政宗も毎日朝のニュースを見ていたため、白川町にオオカミがいることは知っていた。
生物学者として、北大の幸村共々興味を持って一連の推移を見守っていたが、自分の孫が巻き込まれるとは思いもよらなかった。
「…………無事でよかった」
「私もそう思う」
半ば放心しかけている政宗に追い討ちをかけるようで、りこは警察に共に連絡することになっていると、なかなか切り出せなかった。
しかし、いざ報告してみれば、政宗は至極あっさりと納得し、家電のボタンを押し始めた。
そして淡々と話を進め、時にはりこも混じり発見当初の場面を再び話して、日曜日にまた事情聴取という形となった。
電話を切ってから、政宗は疲れが滲んだ笑顔でりこに外食を提案した。
「りこ、久しぶりに外で食べないか?」
「珍しいね、じいちゃん。いいよ、私も今からご飯支度するの、しんどいし」
そういえば、政宗とどこかに食事に行くのは数年ぶりだ。
りこは行き先を聞いたが、政宗は秘密だと笑った。