ホルケウ~暗く甘い秘密~
委員会での図書連盟の報告が終わり、新しく入荷した図書のリストを受け取り、放課後の陳列作業のメンバーを確認した頃には、昼休みは終わりかけていた。
早く食事にありつこうと、いそいそと図書室を出ていく面々を見送り、りこと山崎は最後に図書室を出た。
階段を登っている最中、グギューともキューともとれる、奇妙な音がりこの腹から鳴った。
反射的に吹き出し、そのまま腹をかかえて笑いだした山崎に、りこは憤然とした様子でグチグチと抗議する。
「仕方ないじゃないですか。今日はお弁当作る余裕なかったから、なにも食べてないんです。お腹も鳴りますよ」
「これやるから我慢しろー」
山崎がズボンのポケットから、なにやらゴソゴソと漁っている。
りこの手に乗ったのは、かなり大きな粒のチョコレートだった。
銀色の包み紙が、若干よれている。
「この辺りでは、輸入雑貨店ズッケロでしか扱ってないチョコだ。イタリアのやつなんだが、美味いし食べごたえがあるぞ」
「ありがたくいただきます」
その場で包み紙をはがせば、クランチされたアーモンドに包まれた、直径4㎝大のチョコレートボールが出てきた。
口に放り込むと、カカオの芳醇な香りと程よい甘さがフワリと広がる。
「美味しいですね、このチョコ」
「だろ?俺のお気に入り。毎月ズッケロまで行って、箱買いしてるんだ」
「どこにあるんですか?そのお店」
「町民ホールの近くに、赤いプレハブ小屋があるだろ?派手な装飾の」
「焼肉屋の隣ですか?」
「そうそう。あの店だよ」
とりとめのない会話を打ち切り、りこは山崎を一瞥した。
教室の真ん前で、意識を切り替えるりこを、山崎は見届けた。
早く食事にありつこうと、いそいそと図書室を出ていく面々を見送り、りこと山崎は最後に図書室を出た。
階段を登っている最中、グギューともキューともとれる、奇妙な音がりこの腹から鳴った。
反射的に吹き出し、そのまま腹をかかえて笑いだした山崎に、りこは憤然とした様子でグチグチと抗議する。
「仕方ないじゃないですか。今日はお弁当作る余裕なかったから、なにも食べてないんです。お腹も鳴りますよ」
「これやるから我慢しろー」
山崎がズボンのポケットから、なにやらゴソゴソと漁っている。
りこの手に乗ったのは、かなり大きな粒のチョコレートだった。
銀色の包み紙が、若干よれている。
「この辺りでは、輸入雑貨店ズッケロでしか扱ってないチョコだ。イタリアのやつなんだが、美味いし食べごたえがあるぞ」
「ありがたくいただきます」
その場で包み紙をはがせば、クランチされたアーモンドに包まれた、直径4㎝大のチョコレートボールが出てきた。
口に放り込むと、カカオの芳醇な香りと程よい甘さがフワリと広がる。
「美味しいですね、このチョコ」
「だろ?俺のお気に入り。毎月ズッケロまで行って、箱買いしてるんだ」
「どこにあるんですか?そのお店」
「町民ホールの近くに、赤いプレハブ小屋があるだろ?派手な装飾の」
「焼肉屋の隣ですか?」
「そうそう。あの店だよ」
とりとめのない会話を打ち切り、りこは山崎を一瞥した。
教室の真ん前で、意識を切り替えるりこを、山崎は見届けた。