ホルケウ~暗く甘い秘密~
勉強と違って、どう進めたら良いのかわからないのが痛かった。

ビクビクしながら手探りで玲に近づく方法を探していたのでは遅すぎる。


(テスト終わったら美佳に会うし、その時に相談しようかな……)


この町に住む唯一の友人に、悩みをすべて吐き出そうと決め、少しは楽になる。

大きく息を吐いた時には、自宅のある通りにさしかかっていた。







帰宅してすぐにりこは、着替えと手洗いうがいをすませた。

自室には鍵をかけ、スクールバッグから玲のノートを出す。

ベッドに寝転がりながら、復習がてら、りこは第1の項目を声に出して読んだ。


「第1章、人狼の種類について。人狼とは、ヒトからオオカミに変身し、オオカミの本能のままに生きる存在である。純血種と亜種に別れ、人狼の大半は亜種である。純血種は、人狼の雄と人狼の雌の間に生まれる。平均寿命は約50歳。戦闘能力が大変高く、また凶暴性や残虐さも亜種の比ではない」


身近な純血種の例に、ボロディン族のシフラが挙げられている。


「亜種は、3つの方法によって生まれる。純血種の人狼の雌が、ヒトの男と交尾をした場合。亜種、純血種問わず、人狼の雄がヒトの女と交尾をした場合。トが二回人狼(純血種、亜種問わず)に噛まれた場合。一回しか噛まれていないものは、半人狼と呼ばれる。亜種は、戦闘能力に関しては個体の差がはっきりと出るが、平均寿命はヒトと変わらない」


次の項目では、人狼の戦闘能力についての記述が載ってあった。

表やグラフなど、数値を表すものはカラーペンで書かれている。
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