ホルケウ~暗く甘い秘密~
「成功したら、好きなだけその人狼の見ているものを見れる。それも、相手に気づかれずに」
ニヤッといたずらっ子のように笑った玲だが、徐々にその笑顔は消えていった。
「噂をすれば、だ。誰かが俺の視界を乗っ取ろうとしている」
無表情になり、声は平淡であるものの、じわじわと玲の額から汗が流れはじめた。
りこは固唾を呑みながら、玲の汗をハンカチで拭き取った。
「……下手だな、こいつ」
ボソッと呟き、玲は虚空を睨んだ。
目には見えない圧力の壁を肌で感じ、りこは知らないうちに息を止めていた。
玲の瞳はいつの間にか黄金色に変わっていた。
そして一瞬強く目をつむり、再び開いた時にはその両目は、鮮やかな柘榴色となっていた。
ゾワリ、と鳥肌が立つ。
深く濃い赤の双眸は、焦点が定まらずにフラフラと揺蕩い、あらぬ方向へ流れる。
まるで霊能力者がトランス状態に入ったかのような様子だが、りこはじっとしていた。
ぐらついていた肩がピタリと止まり、玲の瞳の色は瞬く間に元のハニーブラウンに戻った。
「りこさん、見ての通り、透視能力に不慣れな誰かが俺の視界に入り込もうとして、逆に自分の情報をほぼ全て明かしてしまった。それで、俺が見たものなんだけど……」
これ以上ないくらいに強い眼差しをりこに向け、玲は言った。
「りこさんの命が危ない」
(……命が、危ない?)
なにを言われたのか、すぐには頭が追いつかなかったが、言葉がちゃんと脳に届いた時には、りこはある意味納得していた。
「誰かが私を殺そうとしているの?」
「ボロディン族がりこさんを狙っている。まあ、人間の身でありながら色んなことを知りすぎちゃったからな…」
「悪目立ちしていた?」
思わず眉をひそめるりこに、玲は苦笑いした。
「多分ね。でも、りこさんがただの人間じゃないってバレるのは避けないと。どんな女の子よりも甘い魅惑的な肌は、正直最高の餌だからね
(どんな女の子よりも?それってどういう……)
思考がそこで止まっているりこには気づくことなく、玲は前髪を掻きあげながらぼやく。
「まあ、そろそろ狙われるかなって思ってはいたけど……しかしなー、どうしよ。その場しのぎでどうにかなったって、長期的に見たらあんま意味ないよなー……」
ニヤッといたずらっ子のように笑った玲だが、徐々にその笑顔は消えていった。
「噂をすれば、だ。誰かが俺の視界を乗っ取ろうとしている」
無表情になり、声は平淡であるものの、じわじわと玲の額から汗が流れはじめた。
りこは固唾を呑みながら、玲の汗をハンカチで拭き取った。
「……下手だな、こいつ」
ボソッと呟き、玲は虚空を睨んだ。
目には見えない圧力の壁を肌で感じ、りこは知らないうちに息を止めていた。
玲の瞳はいつの間にか黄金色に変わっていた。
そして一瞬強く目をつむり、再び開いた時にはその両目は、鮮やかな柘榴色となっていた。
ゾワリ、と鳥肌が立つ。
深く濃い赤の双眸は、焦点が定まらずにフラフラと揺蕩い、あらぬ方向へ流れる。
まるで霊能力者がトランス状態に入ったかのような様子だが、りこはじっとしていた。
ぐらついていた肩がピタリと止まり、玲の瞳の色は瞬く間に元のハニーブラウンに戻った。
「りこさん、見ての通り、透視能力に不慣れな誰かが俺の視界に入り込もうとして、逆に自分の情報をほぼ全て明かしてしまった。それで、俺が見たものなんだけど……」
これ以上ないくらいに強い眼差しをりこに向け、玲は言った。
「りこさんの命が危ない」
(……命が、危ない?)
なにを言われたのか、すぐには頭が追いつかなかったが、言葉がちゃんと脳に届いた時には、りこはある意味納得していた。
「誰かが私を殺そうとしているの?」
「ボロディン族がりこさんを狙っている。まあ、人間の身でありながら色んなことを知りすぎちゃったからな…」
「悪目立ちしていた?」
思わず眉をひそめるりこに、玲は苦笑いした。
「多分ね。でも、りこさんがただの人間じゃないってバレるのは避けないと。どんな女の子よりも甘い魅惑的な肌は、正直最高の餌だからね
(どんな女の子よりも?それってどういう……)
思考がそこで止まっているりこには気づくことなく、玲は前髪を掻きあげながらぼやく。
「まあ、そろそろ狙われるかなって思ってはいたけど……しかしなー、どうしよ。その場しのぎでどうにかなったって、長期的に見たらあんま意味ないよなー……」