ホルケウ~暗く甘い秘密~
顔文字や絵文字がふんだんに使われた、やたらとカラフルなおやすみメールに、思わず笑みが零れる。

涼しげな美貌の少年は、画面の中だと少し子供っぽいくらい、装飾にこだわりがあった。

それにたいして、おやすみと一言だけ返す自分の素っ気なさ。

昔から絵文字は苦手で、モノクロ文章が板についてしまったため、今さらという抵抗感が強いのだ。


(でも、今日くらいは…………)


あまり派手ではない、猫のスタンプを送ってみる。

慣れないことをしたため、落ち着かずにソワソワとしてしまうが、半瞬と置かずに玲から返信が来た。


『りこさんが初めてスタンプ使ったあああ!』


全力で驚きを表現してきた玲に苦笑いし、りこはまたスマホの画面に指を滑らせ、返信する。

思わず話がつながるような返事をしてしまったため、玲の方から寝ると切り出さなければズルズルと引きのびてしまいそうだ。


(もうちょっとだけ、話していたい)



そのもうちょっとを玲共々繰り返した結果、二人が眠りについた時には2時を過ぎていた。
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