戦乙女と紅(ヴァルキリーとくれない)
甲冑をまとい、控えの間に到着する頃には、既に騎士達は準備を済ませて集合していた。

…勿論、紅もその場に佇んでいる。

「遅くなってすまない。大体の状況は、皆も聞いているな?」

兵を見回しながら私は言う。

「今回の戦はこれまで以上に厳しいものとなりそうだ。何せ数も並みではない」

…その言葉に、騎士達は静まり返る。

このような事、今更告げずともわかっている事だろう。

ならば、これ以上言う事はない。

ただひとつだけ。

「私は皆の事を信じている。その強さも、その士気も、その信頼も、だ」




…その言葉は、本来誰に宛てて告げた言葉なのか。




地鳴りのような雄叫びを上げて、騎士達が出陣していく。

そんな中、私も愛馬にまたがり。

「……」

ふと。

いつもと変わらぬ様子で出陣していく、紅の後姿を見つめていた。


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