戦乙女と紅(ヴァルキリーとくれない)
身の丈ほどの剣を振りかざし、まとわりつく敵兵を斬っていく。

馬上からの攻撃が大した有利さとは思えぬほど、敵兵の数は多かった。

愛馬も思うように走れず、その場でいななく。

「おのれ…邪魔だぁ!!」

足元の草を刈り取るように、眼下に襲い掛かる大国軍の騎士達に剣を振り下ろす。

その中に…「!!」

私の剣を受け止める者がいた。

大国軍の銀色の鎧なのには違いないが、その胸の部分に二匹の蛇の絡み合った紋章…。

この紋章、私は知っている。

「精鋭部隊!!」

大国軍に二百ばかり存在する、選りすぐりの戦の達人ばかりで編成された戦闘の玄人。

ついに、我が国との戦に投入されてきたのか。

私は精鋭部隊の兵を斬り払おうと必死に剣を振るうが、敵もさる者、私の剛剣を見事にいなし、前に進ませようとしない。

「ならば…これでどうだ!!」

ここまでは八割の力。

私は渾身の力を込め、精鋭兵士を頭から両断するつもりで剣を振り下ろす!!


受け太刀するものの、その剣すら叩き折られ、精鋭兵士はその場に崩れるようにして倒れた。

…手ごわい。

ただの兵士とはまるで強さが違う。

これが、大国軍の誇る精鋭部隊か…!!

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