戦乙女と紅(ヴァルキリーとくれない)
これまでだって、紅なしでも戦ってきた。

二十五万もの軍勢を相手に、たった五万で戦ってきた。

その上ことごとく勝ってきたのだ。

ならばこれからもそうすればよいではないか。

今更自由騎士一人いなくなった所で微々たるものだ。

こちらも兵は三万にまで減ってしまったが、大国も兵数は半分以下になった。

勝てる見込みはある。

…勝てる見込みは…あるのか…?

私は自分に問いかける。

忘れてはいないか?

これまでの戦いは、決して私一人の手柄ではない。

有能な参謀にして、我が軍の守護神たる紅の疾風の加護があったからこそではなかったか。

…最早状況は違うのだ。

小国軍に、紅はなくてはならない存在になってしまっていたのだ。

その紅が、いなくなるだけならばまだしも、大国についてしまった。

十一万という数以上に、大国は強大に思えた。

…勝てるのか…?

私一人だけで、この国を守り通せるのか…?


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