戦乙女と紅(ヴァルキリーとくれない)
俺は腰の双剣をスラリと抜き。

「ん…待てよ」

思い留まって、その双剣を地面に突き立てた。

「…紅様?」

俺の行動を不思議そうに見守る兵士達。

その兵士の一人に向かって。

「すまんが、槍を一本くれないか」

「は、はあ…」

兵士は言われるままに、俺に一本の槍を渡した。

朱塗りの、丈夫で軽い槍。

なかなかの造りだ。

その槍を、一通り振り回してみる。

「見事な槍捌きですね、紅様」

見惚れたように呟く兵士。

「ああ…実を言うと、俺は双剣よりも槍の方が専門でな」

そう言って俺は槍を止めた。

肩慣らしはこのくらいでいいだろう。

「さてと…始めるか」

俺は不敵な笑みを浮かべた。


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