戦乙女と紅(ヴァルキリーとくれない)
既に二十人は斬っている。

だというのに、敵兵の勢いはとどまる所を知らない。

当然だ。

十一万の軍勢のうちの二十人など、焼け石に水である。

「くらえ!!」

大国の騎士が突いてくる槍の穂先が頬をかすめ、血が頬を伝った。

それでも私は怯まずに槍を片手で掴むと、騎士を上段から斬り伏せる!!

更に槍を奪い取り、正面にいた敵兵数人を貫いた!!

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

息が乱れる。

斬っても斬っても減る事のない敵の数。

が、手を止めている暇はない。

「ぐはっ!!」

こうしている間にも、友軍の兵達が次々と敵軍によってやられている。

あまりにも数が違いすぎる。

むしろこの状況下で、我が軍の兵達はよく持ち堪えていると言ってよかった。

並みの軍ならば、半刻ももたぬうちに砦門を突破されていただろう。

…傷を負っていない兵など一人もいない。

しかし、戦闘不能に追い込まれた兵数は、我が軍よりも大国軍の方が多かった。

皆、最後の力を振り絞り、大国に一矢報いようと剣を振るう。

だが、そんな小国軍の奮闘を嘲笑うかのように。

「!!!!」

大国軍弓兵部隊の放った無数の矢の雨が、我が軍に降り注いだ。


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