戦乙女と紅(ヴァルキリーとくれない)
その言葉に、涙がこぼれた。

「格好をつけおって…大体貴方は前からいけ好かなかった。皮肉屋で、本心を見せない」

「心配するな」

紅はまた歩き出す。

「嫌われ者はここから去る。戦は終わったのだ。もう用はなかろう」

だが。

「待て!!」

私は彼を呼び止めた。

「貴方は約束を破る気か」

「約束?」

振り返る紅に。

「体術…教えてくれるのではなかったか」

私は笑った。

「私は物覚えが悪いのでな…もしかしたら数年…いや、下手すると一生かかっても覚えられぬかもな」












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